mercredi 24 octobre 2012

Faux-semblant

いいぐさ


あの日の涙は嘘じゃなかった
嘘じゃないよ 本当に 嘘じゃないよ
涙はね 嘘じゃない

あの日の言葉は本当じゃなかった
本当じゃないよ 本当に 本当じゃないよ
言葉はね 本当じゃない

嘘じゃない涙と本当じゃない言葉の中で
私は無性に戸惑って
ペテン師と聖者とが 体を二つに裂いてゆくのを
ひと事の様に ただ見ているしかなかったんだ

あの日の涙は 私の言葉

本当じゃない言葉なんて言わなければ
そうすれば「あの日の涙は嘘じゃなかった。」
なんて 嘘みたいで馬鹿みたいな事
言わなくても良かったのに




jeudi 18 octobre 2012

La métropole de la nuit

都会の夜


都会の夜を見ていたら
ピストルで胸を打たれて
私は見事に死んだ

水も電気もあって
眠るところもある事

ありがたいと感じる前に
当然だと思っていた

遠く離れてても手紙や電話で話せる事
それが簡単に出来るという事

ありがたいと感じる前に
当然だと思っていた

誰かに助けられて生きているってことは
自分と時間を共有している人のことだと
そう思っていた

当然だと思っていた全てが
ずっと昔からの人間の積み重ねた努力だと
解っていなかった

人間という動物が快適に過ごせる環境
自然の中で人が人らしく生きれるように願う事
そういうことが ちょっと甘いんじゃないかと思っていた私が
かなり甘かった

文明開化の鐘の音は自然破壊という言葉では置き換えられない

何か足りないから 足りる様にする
未来を近くに感じたいから 誰かが手を伸ばす

都会の夜を見ていたら
ピストルで胸を打たれた

見た事もないものを作ってきた人たちの想いが
私の当然を打ち破り
私は見事に死んだ

そして私は
当然だと感じる前に
ありがたいと思った