都会の夜
都会の夜を見ていたら
ピストルで胸を打たれて
私は見事に死んだ
水も電気もあって
眠るところもある事
ありがたいと感じる前に
当然だと思っていた
遠く離れてても手紙や電話で話せる事
それが簡単に出来るという事
ありがたいと感じる前に
当然だと思っていた
誰かに助けられて生きているってことは
自分と時間を共有している人のことだと
そう思っていた
当然だと思っていた全てが
ずっと昔からの人間の積み重ねた努力だと
解っていなかった
人間という動物が快適に過ごせる環境
自然の中で人が人らしく生きれるように願う事
そういうことが ちょっと甘いんじゃないかと思っていた私が
かなり甘かった
文明開化の鐘の音は自然破壊という言葉では置き換えられない
何か足りないから 足りる様にする
未来を近くに感じたいから 誰かが手を伸ばす
都会の夜を見ていたら
ピストルで胸を打たれた
見た事もないものを作ってきた人たちの想いが
私の当然を打ち破り
私は見事に死んだ
そして私は
当然だと感じる前に
ありがたいと思った